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BON-UTA, A Song from Home 盆唄
Synopsis
伝統芸能を通して結ばれる福島とハワイの物語
Director Profile
中江裕司
- キャスト
- 福島県双葉町の皆さん、マウイ太鼓
- 監督
- 中江裕司
- 脚本
- –
- 海外窓口
- テレコムスタッフ株式会社
- 桜坂劇場
お盆に村のみんなで踊る「盆踊り」。その踊りを盛り上げるのが「盆唄」。同じ町でも、地域によって趣が違い、各地域の盆唄が代々受け継がれています。ちなみに、「盆」という言葉が使われていますが、宗教的意味合いは薄く、ご先祖様をお迎えしながらも、ご先祖様そっちのけになるほどに踊り狂います。年に一度だけ許された、思いっきり騒いで羽目を外していい日。では、その日以外はどう過ごしていたのか。
映画が映し出すのは、震災で原子炉が爆発して以降、故郷を失ってしまった福島県双葉町の人々。住まいは散り散りバラバラで集まることもできず、唄や太鼓や踊りの練習もできず、もちろん盆踊りも開催できない。このままでは消滅してしまいそうな「盆唄」。そこから映画は、双葉町の人々が、先祖代々、いろいろなものを失ってきたという長い長い歴史を紐解きはじめます。唄、故郷、暮らし、彼らが何かを失う背後に必ず見えてくる、日本という国。失いながらも生きることを諦めなかった人々が生み出した、力強くて生命力溢れる「盆唄」には、この国の光と闇が同居しているという事を知ることになります。
- 中江裕司
- 監督
そして「盆唄」は続く
2015 年から3年間、福島県双葉町の盆踊りを残そうとしている横山久勝 さんたちを撮っていた。当時の双葉町は全域が帰還困難区域。双葉町から避難していた横山さんたちは、自分の土地に入るのに身分証明書を提示するのが辛そうだった。双葉町に入っても横山さんたちは防護服を着なかった。「俺たちは慣れてっから。みんなは着ていいのよ」と。たぶん、故郷の双葉町が汚されていることを認めたくなかったのだろう。ドキュメンタリーは撮り始めるのは簡単だが、撮り終わるのが難しい。終わりを模索し、私は「一日だけ双葉町に帰って盆踊りができないですか?」と提案した。横山さん「それは不可能だと思うよ」私「双葉での盆踊りをラストシーンにしたいのです」横山さん「無理だよ。誰も戻らない」。そして2023年夏、横山さんから電話があった。「今年は双葉町の駅前で盆踊りをやるよ。映画でやったやぐらの共演もやる」と、うれしそうだった。盆踊りには避難した人も亡くなった人も、みんなが集まる。そして、盆踊りは続く。