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LONELY GLORY わたしの見ている世界が全て
Synopsis
“家族”と“商店”の存在を考えさせるヒューマン・ドラマ
Director Profile
佐近圭太郎
- キャスト
- 森田想、中村映里子、中崎敏、熊野善啓
- 監督
- 佐近圭太郎
- 脚本
- 末木はるみ、佐近圭太郎
- 海外窓口
- Tokyo New Cinema
- シネコヤ 竹中翔子
- 店主
演出が光る本作…佐近圭太郎監督は演出の達人だと思います。
役者の持つポテンシャルを最大限に引き出す言葉(台詞)選び、役者の表情の捉え方、ちょっとした《間》に、熟れた演出のセンスを感じます。とりわけ、主演・森田 想さんのハツラツとした可愛らしいイメージから一転、ポテッとした唇が生意気に動く、その魅力はお見事。
また、その演出は役者にだけでなく、《商店》という空間にも及んでいます。田舎の寂れた食堂と生活雑貨店…その街に静かに息づく空間の存在感は、作品におけるもう一つの主人公であるようにも思えます。現代の日本社会の端っこに追いやられている、たしかに存在する《商店》の姿…そうしたものを通して、間接的に現代の日本経済に対して静かに批判を加えている本作は、街における《商店》の存在を考えさせる映画でもありました。
その塩梅がとても素晴らしく、メッセージを押し付けがましくなくコメディタッチに観れる、脚本の良さを感じます。制作を行っている「Tokyo New Cinema」の取り組みも、今後のインディーズ映画界の事業性において大変興味深く、注目していきたいチームです。
- 佐近圭太郎
- 監督
「ここで暮らす家族の物語を作りたい」
映画『四月の永い夢 』から一緒に作品を作り続けている、ひとつ上の先輩・中川龍太郎 監督の言葉をきっかけに本企画はスタートしました。中川監督の「家族」と「場所」というモチーフが描かれた原案に、どんなテーマを込めるか?と考える中で、自分の心の奥底に眠るテーマが見えてきました。
「いかに的確な情報を入手して、最適解を導き出しながら個としてうまく生き抜くか?」が重要視される時代の空気。「情報は常に開かれていて、一人ひとりに選択の自由があるのだから、失敗は自己責任だよね」という言説に対する違和感。その前提の中で、「成し遂げたい目的のために犠牲はしょうがないよね」と、他者の心を一切慮らない振る舞いに対する怒り。そんなあり様に異議を唱えたいと思い、この映画を制作いたしました。
“わたしの見ている世界が全て ”じゃないぞ!という部分を是非多くの方に見ていただけたら嬉しいです!